#MeTooと叫べない女性たち セクハラの現場から

  2018/5/25
シェア ツイート 送る

世間を騒がせた女性記者へのセクハラニュース。


どうなるのだろうと見ていたら、官庁の権力を背にした男性たちが都合の良い理屈を並べ、女性を侮辱する発言を連発し「声をあげると、こうなるんだ!」と威圧の姿勢を見せました。


彼らは被害にあう女性が声をあげられない社会を日本で促進するつもりだったのでしょうか。


その光景を見た女性たちが「私も同じような経験をした」と声を上げはじめました。現在アラフィフの美琴さんもそのひとり。今でも忘れられない経験があると話してくれました。


「もう私はセクハラにあう年齢ではありませんが、一連の騒動にはとてもショックを受けました。今、真っただ中にいる女性は絶望感さえ覚えたかと思います。」

権力の傲慢とセクハラを容認する環境

2201805212111010.png
#MeTooと叫べない女性たち セクハラの現場から
美琴さんが勤めていた会社はトップダウン式。


経営陣から下される命令は絶対で部下はそれに従う。なんとも昭和なスタイルではありますが、厳しい局面では組織全体で乗りきることができるし、素早い対応が迅速にできるなど利点があり、美琴さんは36才の時に新米マネージャーに就いたそうです。


やがて月に一度、全国にある拠点から幹部が集められる定例会に出席することになりました。社長をはじめ各支社長からマネージャーまでが出席する会議なので、いつもは交流のない上層部の男性たちと顔をあわせることになります。


そこには日常的にセクハラ発言が多い60歳代の支社長がいました。陽気な一面があるため、周囲は笑ってスルーするのですが、美琴さんは生理的に受けつけられません。支社長の性的な言葉を受けるたびに怪訝な表情になり、姿を見るだけでも身の毛がよだつ。そんな状態に陥っていました。


ある日、支社長から「君は男性エキスが足りないみたいだね。注入してあげようか。」と耳元でささやかれた美琴さん。とっさに「やめてください!」と周りが振り返るほどの大きな声を上げてしまったのです。

声を上げたあとに待ち構えていた屈辱的な仕打ち

2201805212111300.png
#MeTooと叫べない女性たち セクハラの現場から
翌日、美琴さんの上司へ


「君のとこのマネージャーに人前で恥をかかされた。不愉快だ!」と支社長から電話が入りました。慌てた上司からは「何があったのか?」と美琴さんに事情を聞いたものの、結局は穏便にすませたいので、美琴さんの方に非があったことにして謝りに行くことになりました。


もちろん美琴さんは反論したのですが、上司からなだめられては懇願され、立場が悪くなるからとも言われてしまい・・・。結果、上層部に対して美琴さんが無礼な振舞いをした。という形におさめ、菓子折りをもって謝罪に行かされました。


美琴さんは、謝罪に向かう電車の中で、どうすれば良かったのか。と考えては目頭が熱くなりましたが、泣いたら負ける気がして涙をこらえたそうです。


謝罪に行けば「このことは水に流しましょう」とあっさり幕引きになったそうですが、次は逆らえません。性的な言動は笑顔を絶やさず受け入れて微妙な距離をたもち、飲み会では隣に座らされお酌をするようにしました。それとひきかえなのか、支社長は美琴さんのグループのプロジェクトに対して、寛容に推薦し、進めさせてくれたそうです。


そんな様子を見た周りの反応は・・・。


多くの男性は「それも仕事のうち」「上手に甘えて点数かせげ」と肯定し生贄にする。


多くの女性は「女を使っている」「愛人なんじゃないの」と批判し陰で責められる。


いつの間にか美琴さんの気持ちとは逆行し、貴女だって甘い汁を吸っているのでしょ。の関係に仕上がってしまいました。もう誰も助けてくれないし何も言えない。と感じたということです。

積み重ねた信用と職を失うセクハラ

2201805212110310.png
#MeTooと叫べない女性たち セクハラの現場から
美琴さんは色んな事を考えました。


マネージャー職を降りる。会社を辞める。告発する。だけど自分を守る主張とひきかえに、これまで築き上げた多くのものを失う不安と恐怖と闘わなければなりません。であれば一時の我慢と考えて沈黙をしました。


沈黙は多くの女性が考える自分なりの防衛手段。


その構図を知っていて「そうだろ、言えないだろ。」と身勝手なふるまいを続け、沈黙への代償として「悪いようにしないから」と何らかの利益を与えているつもりの男性。セクハラを軽んじて「言葉遊び」「悪ふざけ」と言いますが、性的な嫌がらせの上に支配を加え、常に女性の尊厳と職を脅かす行為です。だからこそ告発されれば男性も職と信用を失うことにつながるのだ。美琴さんは強い口調で語ります。


一方で、美琴さんは、支社長に対する社会的制裁を望んでいた訳ではありません。性的な言葉は仕事に必要はなく、やめて欲しいと訴えた時に、上司をはじめとする経営陣が、立場のある人間がセクハラをしていることを認識し、適切な処置を施して、救ってほしかった。それだけです。


当時、美琴さんは友人のアドバイスで、セクハラに沈黙しながらも、支社長との間に起きた日時や言動を記録し、そして録音もとっていたそうです。勝手に録音をする。という事に抵抗はあったそうですが、それを使用するかしないかは、後で決めればいいことで「自分の身を守るための」必要な防衛手段だと言います。


「仕事をしていれば、事実や形あるものがどんなに有利に働くのかを知っていますもの。何らかのバランスが崩れ私の心が耐えられなくなったら、自分の安全をとりもどすために告発に踏み切ったと思います。」


「でも告発したら好奇心の対象となり、ハメられた、そっちもそのつもりだったとか、私にも非があると責められ仕事を辞めなくてはならなかったでしょうね。いつも嫌悪感と不安を抱えながら仕事をする苦しい日々を過ごしました。」


「セクシャルハラスメントはどっちに転んでも女性の尊厳と積み重ねた職を脅かす行為。そんな理不尽な社会は、もう終わりにして欲しい。」と美琴さんは締めくくるのでした。
2201710302001350.png
ホームページ制作は中小企業診断士にお任せ

シェア ツイート 送る

おすすめのinformation