通過儀礼 ~おひとり様の介護離職~ 第5回 コウノメソッドとの出会い

  2018/2/2
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音楽プロデューサーの小室哲哉さんが引退会見を行いました。


 プライベートなことは触れませんが、これは“引退”ではなく“介護離職”だなと感じました。介護に疲れ、創作環境を整えることも難しい状況。仕事の品質を保つことができなければ、楽曲提供先に迷惑がかかる。迷惑をかけないためには、仕事か介護かどちらかを選ばなければならない。家族を捨てるわけにもいかず、仕事を辞めて介護に集中するしかない。普通のサラリーマンが介護に追い詰められて仕事を辞めていくのと全く同じ図式です。ましてや、介護しているのが自分より十歳以上若い奥様ともなれば、介護の最大の問題である“先が見えない”心配は、親御さんの場合より深刻であると推察されます。


一世を風靡した音楽プロデューサーも、介護の前では一人の人間であったのです。

医療・介護従事者は認知症を知らない?

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友人からのライン。「ガンが見つかって今度入院しなくちゃいけなくなった」。病気とか入院とか他人ごとと思っていたけど、身近な人たちの話を聞いて不安になる。今は健康で働いているけど、もし何かあったら・・・?
もう一つ、気になるのは年老いた親。最近は階段の昇り降りがつらいらしい。親の介護が必要になったら、面倒を見るのは多分、娘の私になるだろう。「すぐそこに迫る医療や介護の知識を正しく知る」ためのジャンルです。
 最初の病院の対応に憤慨し、すぐさま次の医療機関を探しました。基準は「認知症に力を入れているか」の1点です。インターネットで検索していると、最初の病院のすぐ近くに見つかりました。まさしく灯台下暗し、すぐさま予約を行いました。実際にお伺いすると、事前に社会福祉士さんがお薦めの先生を教えてくれたり、診察してくれた医師も丁寧にお話をしてくれたりと、ようやく患者扱いされたと、安堵したのを覚えています。


 しかしながら、診断結果は「認知症」。ここでもはっきりした認知症の類型を聞くことはできませんでした。診断後、社会福祉士は「胃ろうの準備をしたほうがよい」「施設を探した方がよい」とか、こちらの困りごとや要望を聞く前に一方的な助言をしてきます。「いやいや、そこは困ってないから」と心の声を抑えつつ、病院を後にしました。

医療・介護従事者は、認知症のことを良く知らないのでは?

車を運転しながらこれまでの体験を反芻していました。


何かおかしい。もしかして医療・介護従事者は、認知症のことを良く知らないのでは? 知らないというより、個別の患者の事象や背景を見ようとしないで、これまで接した患者や利用者と同じ経過を(無意識に)辿らせようとしているのでは? という結論に達しました。


患者は増える一方で、効率的に捌かなければならない。有効な治療法もないから医療でなく介護マターですよ、という既定路線があり、“治療法を探している”こちらと齟齬が生じるのは仕方がないのだと、ようやく気付くことができました。


それならばと、「認知症治療」により特化して基準を設定し、ネット検索や書籍の読破に力を入れ始めました。

中核症状と周辺症状

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通過儀礼 ~おひとり様の介護離職~ 第5回 コウノメソッドとの出会い
いろいろと調べていくと、どの書籍にも共通に、以下の記載がありました。


 認知症の症状は、記憶障害、実行機能障害などの「中核症状」と、不眠、興奮、幻覚、易怒(ちょっとしたことで怒り出す)などの「周辺症状」に分かれ、家族を困らすのは「周辺症状」であることが分かりました。なるほど、ウチも興奮や易怒だけでも治まってくれればなあ~とぼんやり考えているうちに、あることに気が付きました。


あれ? 俺は“介護離職”したはずなのに、“介護”していないじゃん?


 介護とは、一般的に三大介助(入浴・食事・排泄の介助)のことを指します。しかしながら、父の場合はすべて自分でできていましたので、私は介護らしい介護はしていませんでした。むしろ、周辺症状に振り回され、通常の生活が損なわれている状態でした。ということは「周辺症状」さえ抑えていることができれば、この困った状況を打開できるのではないか? という発想が生まれました。


「周辺症状の治療」により的を絞り、医療機関を探すことにしました。

コウノメソッドとの出会い

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通過儀礼 ~おひとり様の介護離職~ 第5回 コウノメソッドとの出会い
 衰退の進む地方では書店も規模が小さく、品揃えも少ないことから、上京の折には大型書店巡りを行っていました。手に取る書籍の内容は、主に介助の技術、あるいは体験談に基づいた患者・利用者への接し方、また「介護保険制度を活用して地域包括支援センターに頼りましょう」「家族の絆が大切です」「患者の心に寄り添いましょう」等の心構え、情緒的な精神論に終始しており、肝心な解決策を示すものはありませんでした。半ば諦めかけていたとき、フラリと入った渋谷のブックオフで何気なく手に取った書籍のあとがきに、私は衝撃を受けたのでした。


患者か家族か。どちらか一方しか救えないのなら、私は家族を救う。
介護する家族を救わなければ患者も救えないからである。


名古屋で開業している河野和彦医師の言葉です。


認知症治療の本質を理解していなければ出ない言葉に、感動と頼もしさを感じました。“家族を救う”とは、家族を困らす周辺症状を抑えることでは? 私は即座に『認知症 家族を救う劇的新治療』(主婦の友社 河野和彦著)を購入し、貪るように読み耽りました。


そこには、認知症の類型である「アルツハイマー型」「レビー小体型」「前頭側頭型」「脳血管性」の4つの類型の詳細な症状、見分け方、既存の抗認知症薬の副作用、周辺症状の投薬の種類などが明確に記載されていました。


今までぼんやりしていた認知症の輪郭が明瞭になり、私の体にそれらの知識がどくどくと流れ込んでいく感覚がありました。


幸い、私の実家から車で何とか行ける距離に、「コウノメソッド」を取り入れている医師がいらっしゃいました。行き詰っていた介護に、ようやく光が差した瞬間でした。

■教訓

・医療・介護従事者は認知症について詳しく知らない!
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