女性管理職が女性社員たちから足をすくわれたという話

作者: ヒメノワ
  2017/12/1 更新

ある会社の役員である由香さんは、同年代の女性部下の話をもう15分間聞いています。


「旦那が異動になって、九州に引っ越しとなって・・・単身赴任になるからその片付けが大変で・・・子供の小学校の行事と重なって・・・」


彼女は、由香さんが依頼している仕事が期日通りにできないことを報告しているのですが、由香さんは話を聴きながら、こんなことを考えていました。


「彼女はあとどれくらいの量の仕事を任せられるのかしら。もう少し納期を伸ばせば大丈夫なのかしら」
「家庭の話をされても、私何もできないのよね・・・。どうすればこの問題を解決できるのかしら・・・」


女性部下の話が一区切りしたところで由香さんは、「で、今後どうするの?」と尋ねました。


これまで熱っぽく、一方的に話していた部下は、急に真顔になり、「来週から1週間お休みいただけますか?」と切り出しました。


由香さんは次の手立てを考えながら、部下の申し出を了承しました。

女性役員として大活躍

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ビジネスの荒波の中、もがいて、もまれる私たち。40歳を過ぎたころから、目上の人にはしなやかに、したたかにかわして自分を守る。でも譲れない一線はしっかりと守り、時として一目をはばからずに表現する術を身につけてきた。この先も長く働き続けるためのヒントを詰め込んだジャンルです。
由香さんは結婚後、何回か転職を得て、あるベンチャー企業で働いていました。
仕事に対して熱心に取り組む由香さんの姿は、経営陣の評価も高く、40代で役員に抜擢されました。
目の前の問題を解決するためには、予算を達成するためには、会社にもっと貢献するためには・・・。


会議や出張で多忙な由香さんは、直属の部下たちに矢継ぎ早に仕事を依頼していきました。


由香さんの部下は10名。うち半数が女性です。特に女性の部下たちは非常に優秀で、由香さんの指示通りに仕事を進めてくれました。
自分の思い通りに仕事が進んでいく喜びや達成感を由香さんはかみしめながら、次々と新しい仕事に取り組んでいきました。

「由香さんが専務と不倫をしている」

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女性管理職が女性社員たちから足をすくわれたという話
といううわさが社内で流れ出したのは、由香さんが役員になって1年が経過しようとする頃でした。
専務は創業当時から当社を支えているナンバー2。由香さんを役員に推した人物でもあります。
由香さんは少し年上の専務に対し尊敬していましたし、専務も由香さんを信頼していました。


しかし、不倫というのは全くのぬれぎぬです。


誰がこのような噂を流したのか。どうも、由香さんの部下である女性社員たちが、
「由香さんって、女性と男性の前では明らかに表情や声が違うのよね」
と噂をしたことが発端のようです。


とはいえ、彼女たちが本当にそんな発言をしたのか、証拠は全くありません。
あっという間に噂が広まり、得意先の担当者からも不倫をにおわすような発言が出てくるようになりました。


ある日、由香さんは社長に呼ばれ、役員を辞任するよう請われました。
これまで仕事で成果を上げてきた。
不倫はデタラメであり、そのようなことは一切ない。


由香さんは社長に延々と訴えましたが、
「確かに、悪質な噂だと思うが、得意先からもやんわりといわれているんだ。会社の信用にかかわる問題だ」
と社長に言われてると返す言葉もありません。


由香さんは役員を辞任となり、課長職としてかつての部下たちと働くことになりました。


ですが、由香さんは体調不調で1か月間お休みしてしまいました。
食欲がなくなり、かつ味覚もなくなるので、何を食べてもおいしくない状態。
眠れないため、心療内科に通い、睡眠導入剤と精神安定剤を飲んでいました。



しかし、由香さんにとって地獄はここから始まったのです。

休暇のあとの職場復帰。

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女性管理職が女性社員たちから足をすくわれたという話
かつて由香さんの指示のもと働いていた女性部下からこんな一言を言われました。
「もう、えらくないんですからね!」
かつての女性部下たちは、昼休みにはこぞってランチに出かけます。が、由香さんには声がかかりません。


女子トイレで女性たちが何やら楽しげに話しているのですが、由香さんが近づくと、すっと話をやめてしまいます。
さすがに仕事の話はするのですが、それ以上の話は一切なし。


これまで役員としてあまたの難題を乗り越えてきた由香さんですが、この状況は非常にしんどかったそうです。

職場のきっかけから由香さんは立ち直るように

そんなある日、大型プロジェクトの締め切りが迫り、由香さんの部署は連日の残業に追い込まれる事態が発生しました。
長い時間の残業。子供を持つ女性社員は、時計を気にし始めました。


そろそろ帰らなければいけないけど、私一人帰るわけにはいかない・・・


そんな女性社員の気持ちを由香さんは察しました。
そして、全員の進捗状況を確認して、ある判断を下します。
「ここまでやったらもういいでしょう! この辺で帰りましょう!」


かつて役員だった由香さんなら、決して妥協しなかった段階での終了宣言。
由香さんのことをよく知っている女性社員たちから驚きの声が上がりました。


この一件があったあと、由香さんは女性社員たちと気兼ねなく話せるようになりました。
また、経営陣から厄介な仕事依頼が来た時に、由香さんが対峙して負担を減らす交渉を行うような役割を担うようになりました。
針のむしろだった職場が変わり、由香さんも落ち着いて仕事に取り組むようになりました。

その後の由香さん

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女性管理職が女性社員たちから足をすくわれたという話
その後2年ほど勤めて由香さんは会社を退職し、かねてから興味があった心理学の勉強を行い、カウンセラーの仕事を始めています。


先日、かつての女性部下たちと会ったそうです。


「当時の私は、部下の話を一切聞いてくれない、押し付けるような管理職だったと、彼女たちから言われました」
「今は表情が変わり別人のようだ、とも言われましたね」


当時のことを思い出して苦しくないのですか?
「今の生活がとても充実していますからね。もう笑って話せますよ」


と由香さんはインタビューでけらけらと笑うのでした。

~「ヒメノワ」から~

いま、女性管理職ということで世間で話題になっています。一方で、女性が男性と対等に働けば働くほど、ほかの女性たちから浮いてしまうということがあるようです。皆さんの周りはいかがでしょうか?

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